病気・医療の話

骨粗鬆症 -合併症と予防-

骨粗鬆症は、骨のカルシウム(骨密度)が減少し、骨がもろく弱くなってしまう病気です。殆どの場合、眼や耳のように老化によって衰えが自覚できないため、気づかないうちに骨粗鬆症が進んでおり、レントゲン検査や骨密度の計測を受けて初めて骨量が減少していることを指摘されたりします。高齢になって腰痛が出現したり骨折したり背骨の変形がめだってきたりする頃には、かなり病状が進んでいることが多いのです。

高齢者の寝たきりの原因は、1位が脳血管障害で、2位が背骨や大腿骨の骨折によるものです。特に大腿の付け根(大腿骨頚部骨折)の骨折はその20%が寝たきりになるという統計があります。又しりもちをついたり、少し重いものを持ち上げただけでも骨折してしまうのが、脊椎の圧迫骨折と言われるもので、1ヶ月は痛みのため自由に動けなくなり、放置していると背骨が変形してしまいます。また骨折しなくても徐々に背骨がつぶれてきて背骨が曲がった状態(円背、亀背)になることがあります。


合併症

このような背骨の変形は腰や背中の痛みだけでなく、歩行能力や内臓の機能に悪影響を与えます。背骨が曲がってしまう事により、お腹が圧迫され、胃が食道のほうへ上がってしまう状態(食道裂孔ヘルニア)になり、そこに胃液が溜まり炎症を起こす(逆流性食道炎)ことがあるのです。この逆流性食道炎は上腹部痛が出現し、さらに胸痛を惹起し、時には狭心症と診断されることがあるほどです。また、背中から胸の変形にともない胸全体の動きが悪くなり肺活量等を低下させ、呼吸機能低下をもたらすようになります。

脊椎変形による歩行への影響としては、背骨全体が強く曲がる(円背)と、その分下半身全体でバランスをとるため股関節の動きが悪くなり、膝関節は伸びなくなるために足が前へ出にくくなることで、運動が制限され歩行能力が著しく低下します。また、円背があると、背骨をささえる筋肉が常に緊張し筋肉が硬くなり、腰背部痛が出現するため休み休みでないと長い距離を歩けなくなります。すでに脊椎の変形がある方は、医師によく相談し投薬や適切なリハビリテーションを受けましょう。

骨粗鬆症になりやすい方は、閉経後の女性すべてですが、特にカルシウム摂取の少ない人に多く、牛乳の嫌いな人、胃の手術を受けた人、卵巣摘出術を受けた人などは積極的に検査をうけるべきです。また、いまは元気で、病気もしていないため大丈夫だろうと思っている方もぜひ骨密度を計測してもらってください。骨密度の計測方法にはいろいろありますが、いずれも気軽に受けることができる検査です。


骨密度を低下させる因子

  • 加齢(70歳代の60%が骨粗鬆症)
  • 過度の「やせ」
  • 寝たきりなどによる不動状態
  • 喫煙はカルシウムの吸収を妨げる。
  • アルコールの多量摂取は、肝機能障害によるビタミンD代謝障害や、慢性の低栄養状態を導き、カルシウムの吸収を妨げる。
  • カフェインは尿からカルシウム排泄を増加させる。


 骨粗鬆症の予防

osteoporosis_02.gif基本的には十分なビタミンD及びカルシウム摂取と軽い運動です。骨は刺激を受けなくなると、丈夫でなくても良いと思い、溜め込んだカルシウムを放出してしまいます。現に、宇宙飛行士が2週間宇宙に滞在しただけで、10数%の骨量が減少してしまうそうです。ビタミンDは骨の代謝に必要で、多くは太陽の光を浴びる事ことで皮下脂肪の中でつくられます。毎日、30~40分日光を浴びながら散歩をしたり体操などをして体を動かす事が大切です。

カルシウムは吸収されにくい栄養素であるため十分に摂取することが大切です。牛乳や乳製品はカルシウムをコンパクトに取ることができ、体内への吸収も良いのでおすすめです。

小魚や野菜からのカルシウム吸収を良くするために、柑橘類、梅、お酢など酸味のものを一緒にたべることを心がけましょう(小魚の南蛮漬け、しらすや海草の酢の物)。その他骨に良い食べのとしては、大豆(とうふ)があります。大豆に含まれるイソフルボンは骨からカルシウムが抜けて行くのを防ぎます。さらにお勧めは、納豆です。これにはイソフルボンのほかにカルシウムを骨に定着させるビタミンKが多く含まれています。さらに血液をさらさらにする働きもあるので、できれば毎日摂取しましょう。

進行した骨粗鬆症はあわてて治療しても、そう簡単に骨は丈夫にはなりません。大切なことは、早いうちから骨にカルシウムを十分に溜め込んでおき、それが骨から出て行かないようにとどめておく努力をしておくことです。少しでも気になる方は是非骨量計測をして自分の骨の健康状態をチェックしてもらいましょう。

整形外科