ある程度、年をとると誰でも一度は経験したことのある腰痛。思い出してください、まっすぐに二本足で立たされているお猿さんを、何かつらそうに見えませんか?人間が完全に二本足で歩くようになったため、腰が後ろに反った状態になり、体の中心部である腰に大きな無理がかかるようになった、両手がいつでも自由に使えるようになった見返りに神様が人間に与えたウイークポイントであるかの様に思えます。
一般の腰痛は大きく分けて4つに分けることができます。
- 腰椎の両側にあり腰椎を支えている筋肉の疲れから血流が悪くなり筋肉が緊張して起こる筋膜性の痛みや腰骨をつないでいる靭帯の炎症からの痛み。(筋幕性腰痛症、棘間靭帯炎など)
- 腰椎をつなぐ関節や、骨盤をつなぐ関節のずれや老化によって起こる痛み。(椎間関節痛、仙腸関節痛)
- 背骨の中を通って下肢にまでつながっている神経が腰の部分で圧迫をうけるため、痛みやシビレが臀部から足先にまで及ぶいわゆる坐骨神経痛。(椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症)
- その他 心筋梗塞、胆石、尿路結石、帯状疱疹、脊椎圧迫骨折、脊髄腫瘍、化膿性椎間板炎、脊椎への癌転移、脊椎骨粗鬆症などでも重篤な腰痛が出現することがあります。
人間のウイークポイントである腰は、常に大きなストレスが加わっており骨、関節の老化現象による変形や腰椎をつなぐクッションである椎間板の劣化などが起きやすいところであるため、常に腰部の変調に気を使うべきで、姿勢のチェック、腹筋や背筋の筋力強化、ストレッチングなどを行い、腰にストレスを溜め込まないように注意しましょう。
腰痛が出現したら、いずれにしろ、早く原因を見つけて正しい治療を行うことが第一です。特に、注意を要するのは、腰痛の原因が腰部周辺の構造的な部分以外にある場合で、この場合我慢して放置したり、ただ安易に漫然と民間療法に頼っていると診断が遅れ取り返しのつかない事になりかねません、必ず責任ある整形外科を受診し医学的な検証をすすめ全身的に正しい診断を早期に受けることが重要です。
治療方法
基本的には元来人の持っている治癒力を最大限に引き出し、早く治る手助けをすることを目標としています。
| 1.安静にする: | 腰に負担をかけないようにする。日常の診察で遭遇する腰痛の50%以上は仕事を休んで安静を約1週間保てば軽快するものです。 |
| 2.薬物療法: | 鎮痛剤の服用、坐薬やシップの使用、硬膜外ブロックは、よく一般に痛みをとるだけで治療にならない、とか副作用が強く体に悪いとか言われていますがこれは正しい理解ではありません、重要なことは痛みを早くとって体全体を早く自然な動きができるようにしてあげることです。また鎮痛剤や硬膜外ブロックには炎症を抑える強い効果があり疼痛の原因である神経炎や腰椎周辺の炎症が効果的に軽減されます。副作用を熟知した医師が適切な使い方をしていますので心配はいりません。 |
| 3.装具療法: | コルセットの装着はどうしても安静にできない人や、仕事で腰に大きな負荷がかかる人に有効ですが、長期間装着しつづけると、腰部の筋力低下をまねきますので医師の指導のもとで装着しましょう。 |
| 4.物理学的療法: | 骨盤牽引の主な効果は、牽引によって腰周辺の硬くなった筋肉をストレッチしリラクゼーションを得ることにあります。当院では特に効果のある90/90牽引を施行しています。その他干渉低周波、超音波、温熱療法などを組み合わせて治療します。 |
| 5.治療体操など: | 腰痛体操、ストレッチング、日常生活指導などにより、腰痛の原因をなくし、再発を予防します。 |
| 6.手術療法: | 最後の手段です。神経麻痺が出現し下肢がうまく動かない、大便小便に障害がでてきた、どうしても早く確実に痛みを取って社会復帰したい。このような場合以外であれば、時間をかけてゆっくり治療すればほぼ80%が日常生活に復帰できます。 |
